骨や歯肉の再生治療REGENERATIVE

骨が足りない場合の治療

インプラントを埋入するときには、土台となる顎の骨の高さや量が必要です。

しかし場合によってはインプラント治療がすぐにはできないほど、骨が不足していることもあります。

例えば、上顎の骨の奥には上顎洞という空間があり、もともと下顎の骨よりも薄く少ないので、インプラントを埋め込むのが難しいことがあります。

歯周病や長年の入れ歯の装着などが原因で、顎骨が破壊されていたり、痩せていたりする場合もあります。

そうした場合には、インプラント手術の前に、まず骨の量を増やす治療を行ないます。

骨量を増やすための、代表的な3つの特殊な治療法をご紹介します。

GBR法(骨組織誘導再生法)

歯周病などで歯を失ってしまうと、インプラントを設置するために必要な骨の高さや幅が確保できない状況がしばしば見られます。

このような場合に、そのまま無理にインプラントを設置すると、長期的な成功率が大幅に低下してしまいます。

そこで骨の不足している部位を適切な高さ・幅にするために、ご自身の骨や人工骨などで補てんする方法がGBR法です。

この治療法を行なうことでインプラントの設置が可能となります。充分に高さと幅が確保された土台にインプラントを入れることで、機能的・審美的に自然で、かつ長持ちする歯を取り戻すことができます。

サイナスリフト(ラテラルウィンドウ法)

上顎の骨の奥には、上顎洞という鼻腔へとつながっている大きな空洞があります。この上顎洞はサイナスとも呼ばれます。

上の奥歯を失うと、上顎洞が下に拡大してきます。同時に失った歯が生えていた部分の骨も痩せていくので、骨の厚みが急激に減少してしまい、インプラントを埋入する顎の骨の高さが不足します。

そこで有効なのが、サイナスリフトという治療法です。上顎洞の底部を押し上げ、そこにご自身の骨や骨補てん材を入れることによって不足した骨を補い、インプラントを埋入する骨の厚みを確保します。 特に上顎洞底までの骨の厚みが5㎜以下と少なく、インプラントの固定が困難なケースに行なわれます。

上顎の骨の厚みが一定程度ある場合には、サイナスリフトとインプラント治療を同時に行なうこともあります(1回法)。著しく骨が薄い場合には、まずサイナスリフトを行なって、骨が安定するのを半年ほど待ってから、インプラント治療をします(2回法)。

サイナスリフト(オステオトーム法)

ソケットリフトとも呼ばれる、サイナスリフト法のひとつです。

基本的にはサイナスリフトと同じく、上顎の骨の奥にある上顎洞という空洞を利用して、骨移植材を充てんし、骨に厚みを加える方法です。

この治療法では、まず上顎の骨にドリルで穴を開けます。上顎洞へ貫通する直前でドリルをストップさせ、そこから金槌のような器具で、徐々に衝撃を加えながら、上顎洞粘膜に覆われている上顎洞を押し上げます。作業で開けた穴から、特殊な器具を使ってすき間なく骨移植材を詰めて上顎の骨に厚みを持たせ、インプラントを埋入した後の骨の強度を上げます。

この治療法の利点は、そのまますぐ続けてインプラント治療を行なえることです。

ただし新しく造られる骨の量に限界があるため、著しく骨が薄い場合には、サイナスリフト(ラテラルウィンドウ法)を行ないます。

歯肉が不足している場合の治療

歯の根が大きく露出しているなど歯肉が足りない状態だと、歯ブラシの圧力に弱くなって歯磨きが困難になり、歯肉に炎症が起こりやすくなります。炎症が進むと歯肉がさらに痩せて薄くなるので、インプラントの脱落にもつながってしまいます。

歯肉が不足している場合には、次のような治療法があります。

遊離歯肉移植術(FGG)

遊離歯肉移植術(FGG)は、インプラントの周囲に角化歯肉(コラーゲン繊維に富んだ硬く動かない歯肉)が足りない場合に行ないます。上顎の口蓋から上皮の付いた歯肉を切り取って、歯根やインプラントの周りに移植する方法です。

結合組織移植術(CTG)

結合組織移植術(CTG)は、インプラントが埋入されている部位の歯肉の厚みがない場合、上顎の口蓋から結合組織のみを切り取って、歯肉が退縮している部分の上皮と骨膜との間に移植する治療法です。

このような歯肉の処置は、インプラントだけではなく、審美的な治療でも用いられています。

骨の再生や歯肉の治癒を早める再生医療 PRGF

PRGFとは、Plasma Rich in Growth Factorの略で、患者さま本人の血液中に含まれる成長因子を効果的に活用し、骨などの組織の再生を促進する治療法です。最近では組織の再生に大変有効であることが報告され、歯科・口腔外科以外の領域でも注目を集めている治療法です。

効果とメリット

PRGFでは、まず患者さまご自身の血液を静脈より20ccほど採血します。採取した血液は遠心分離器にかけて、成長因子を多く含む血漿を取り出します。採取した血漿を、インプラントが埋め込まれる組織の周囲に注入すると、骨などの組織の再生を促し、当院の従来のインプラント治療よりも速く治癒します。

患者さまご自身の血液から採取する成分なので、副作用もほぼありません。当院の従来の治療法に比べて、治療期間を約40%短縮できると考えられます。個人差もありますので、詳しくはカウンセリングの際にご相談ください。